コラム

2006.3.29

ファッションショーと住宅デザイン

今日は、昨日の穏やかな春の陽気とは一転して、朝からアラレ(雪の塊)が、降る天気でした。今年の秋田市の桜の開花時期は、4月中旬ということですが、一番早く桜の咲く、寺町通りの桜のツボミも、ようやく付き始めたようでした。

「パリコレ」とい言葉がありますが、これは、誰でも知っているパリコレクションですが、このファッションショーで、モデルが着ている洋服は、どうみても、普通の人が着ては、絶対似合わないといったものばかりです。しかし、このコレクションが、流行の先端となり、次々と売れる服を作っていきます。それは、デザイナーが、「創造」する世界と、一般の人が、「想像」する世界が、まったく違うからだと思います。

建物や住宅は、どうでしょう?これも、一般の人が、考えることと、デザイナーが、造るものとは、まったく違いますので、感動や驚きが、あります。そして、そのデザイナーや建築家達が、創造された空間や形は、その後、様々な建物や住宅に採用され、一般の住宅にも取り入れられていきます。そして、そこには、常に「流行」が、あります。
「ファッション」とは、その時の流行、服装ですが、生地、素材が、重要なポイントになります。やはり、ウールやシルクや綿などの肌触りの良いものが、少々高いですが、人気でありいい洋服が、できます。「住宅」も同じであり、素材や新しい資材が、とても大事であり、その時代の「ファッション(流行)」が、あると思います。

しかし、住宅は、洋服と違って、毎日、季節ごと、流行にあわせて、着替えることは、できません。ですから、デザインだ、ファッションだと言って、町並みの雰囲気とは違った家を建てると、「異様な家」になってしまいます。洋服ですと、同じファッションの仲間達と一緒にいると似合うところが、着物を着た人、ウェスタン調の人、パンクロックの人、リクルートスーツの人達が集うグループのような町並みになってしまいます。
でも、外観が皆同じですと、集合住宅や貸家のような雰囲気になりますし、住む人の個性を出しながら、町並みに似合った建物を造ることは、いろいろな意味で、とても難しいことだと思います。

わたしたちは、住宅をつくることで、コミュニケーションのもてる街づくりや、家づくり、そして、安心と安全な暮らしを実現していかなければならないと思います。

by 村上直樹