コラム

2006.3.15

いつも、歴史は、繰り返す

寒い日々が、続きます。今日は、弊社に京都から畳の縁の業者が、訪れてきました。
実は、私の代になってからは、畳の資材の問屋として材料販売をやめているため、最近では、自社の職人で施工する程度しか購入しませんが、昔からの「行商」のなごりが残っているのか、定期的に営業訪問に来ているようでした。
その業者との話の中で、「全国的に畳店の仕事が、どんどん減っているようだが、実際には、安売りの畳は、業績を伸ばしている」ということでした。
しかし、それは、一般住宅の畳ではなく販売用の畳、つまり、マンションや建売、店舗などで、業務用として会社に利益が出るように「質よりもコスト」を重視した畳(中国製や着色したり耐久性のないもの)を納品しているとのことでした。

しかし、私は、これからは、畳の二極化が、始まり、「本物の畳」と「にせものの畳」が、一般ユーザーに理解され、これからは、「無農薬」「自然素材」「手作り」「アフターサービス」「リサイクル」、そして、「日本の伝統美」というものが、重要視され、近い将来、畳は、復活し日本の住宅には、かかせないものになるとお話しました。
日本の住宅の床材の歴史は、土間にはじまり、板の間、そして、畳は、貴族や位の高い人だけが敷くものとしてありましたが、明治大正時代から昭和にかけて「大ブレイク」して、一気に一般消費者の住宅には、なくてはならない床材になりました。

そして、時代はかわり、戦後のアメリカナイズとともに「洋風文化」となり、「インテリア」と言う言葉とともに畳に代わって「カーペット」が、どこの家にも敷かれる事となります。しかし、その流行も一時でした。そのカーペットや畳にダニという「天敵」が現れ、両方とも一気に衰退していきます。
そこで、「ダニ問題」解決のために現れたのが、オシャレな「フローリング」でした。フローリングの上に「家具」を置き、スリッパを履いて生活するスタイルが、インテリア雑誌やテレビのドラマなどで放映されると、その流行は、またたく間に広がりました。
しかし、最近は、どうでしょう?
実は、このフローリングも床板としては、「にせもの」になります。つまり、本物の無垢の板ではなく、表面は木目なのですが、中身は合板で、接着剤や溶剤の塗料が塗られたものでした。また、家具も目がチカチカするくらい塗料を塗ったものもあり、室内での健康をあまり考えていない商品でした。
そして、最近では、自然塗料を塗った「無垢のフロア」の上に「裸足で」歩く住宅が、とても人気になっています。この「スリッパ」というものは、床が、冷たかったり、汚れたりするから履くものですので。自然塗料を塗った無垢の床フロアでは、サラリと暖かく、気持ちがよいのです。しかし、欠点もあります。傷がつきやすく、汚れやすく、張替えにくいといったことです。

そこで、自然素材、安全、暖かい、張替えやすい、「畳」の時代が、また、やって来るのではないかと想像します。「歴史は、繰り返します」、土間の生活には、ならないと思いますが、「伝統があり、本当によいもの、日本人にあったもの」は、また、復活すると思います。畳屋さん、頑張ってください。

by 村上直樹